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「嫌だって言ったら?」
「稲妻に撃たれるのが好みか? それとも炎でバーベキュー? あぁ、氷漬けも候補としてあげようか? なんなら三枚に下ろすのもありだな」
「言葉が通じなければすぐ暴力か? それが根本的な解決にはならないだろう」
「忌々しいほどに正論だが、お前に言われたくないわ!」
ごごっ、と凄まじい魔力がセシルの掌に集まっていく。
「馬鹿か。まだお前は俺の本当の恐ろしさをわかっていないようだな……」
だが、サーファはそれを微塵たりとも臆せず不敵に笑って、セシルに向き直る。
「お前は知っているはずだ。俺が『その気』になれば、お前程度の魔術師など、どうとでもできるということを――」
「――ち」
サーファの言葉はセシルの表情に微かな緊張を走らせた。
「お前の安い脅しは俺を『その気』にさせてしまったんだ――ッ!」
言うが早いか、サーファはその場に両膝と両手をついた。いわゆる土下座だ。
「駄目だって! 俺、人前とか無理の領域だから! 何よりお前も知ってるだろ!? 俺が魔術のことを大っ嫌いなことを」
必死に懇願するサーファに、セシルもまたサーファを知る身として言いよどむ。
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