第1章

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「思い出したら、開けなさい」 聞こえた声に一度頷いて、僕は目がさめた。 白い天井を見上げていたけど、手の違和感に気づいて体を起こす。 両手に収まる程の黒い球体。 いつから持っていたのか、まったく覚えていない。 触っている感覚は、冷たいが見た目以上に軽く表面は鏡のように磨かれている。 少し横長にのびた顔を見て首を傾げた。 「目が、金色?」 ささやく程の声に、僕は更に目を見開く。 なんだこれ!? 僕じゃない! 絶対的に違うと断言できる。 「思い出したら、開けなさい」 「なにをだよ! どこにいる! 出て来い!?」 最初に聞いた声に言い返し、相手を見つける為に、周りを探す。 白い天井、白い壁、色がない場所に初めて自分がいる状況を知って思わず手に力を込める。 視線を落とし、手にある球体だけが対抗するように色がついていた。 まるで、周りと一緒になるのを拒むような。 「孤独」 こぼれ落ちた言葉に、僕は目を見開く。 同時に、球体から高い音が出て、表面にヒビが入り 全体に広がりだす。 小さな欠片となって手のひらからこぼれたそれは、床に落ちた瞬く間に形を変え白い壁に模様を描いて消える。
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