8人が本棚に入れています
本棚に追加
「・・・・・・え・・・?」
俺の剣は、盾に塞がれた。あれ・・・?魔法使いは剣士の装備できないんじゃ・・・。
自分の常識が通用せず面食らったが、すぐに先程の出来事から納得した。
そういえば・・・、魔王は俺を片手で抑えられるほどの怪力の持ち主だったな・・・。あれだけの力があれば、剣士用の盾だろうとなんでも使いこなせる。
そうか、魔王に『常識』が通用する訳ないよな。・・・・・・もう距離を取ろうにも間に合わない。一撃目は、受けるしかないな・・・。
これから襲いかかるであろう痛みに身構えると・・・
「・・・・・・我に仇なすものを、びしょびしょにしろ。」
「・・・は?え、ちょっ、どうゆう・・・」
ザアアアアア
「・・・・・・。」
俺の頭上にのみ積乱雲が出現し、魔王の詠唱どおり、『びしょびしょ』にされた。・・・・・・。
「・・・・・・いや何がしたいんだよ!?」
心からの叫びを魔王に投げる。すると魔王はいたずらっ子のような無邪気な笑みを浮かべつつ、また平然と告げる。
「いやー、水も滴るいい男・・・だね!」
「答えになってねぇよ!」
それに、いい男じゃなくて無様なだけだろうが。・・・・・・うわ、鎧の下のシャツまでぐっしょりだ・・・。
「そう、その顔!」
「は?」
「その、苦渋に満ちた顔・・・!最高に可愛いねぇ・・・!」
「・・・え?」
「それに・・・、全身ぐしょぐしょでいやらしいねえ・・・、次は、どんな魔法にしようかな・・・!」
あ・・・、あ、うあ・・・・・・。
「き、気持ち悪っ・・・!お前、よっぽどの変態だな・・・!!」
「事実を述べられても、一切傷つかないよ?」
すごい。こいつ真性の変態だ・・・。こんな、こんなやつと戦わないといけないのか・・・!
俺はある決断・・・いや、英断を下した。
「うわああああああ!」
一時退却、戦略的撤退。魔王のいる玉座とは正反対・・・はるか遠くに見える、部屋の出口へ一目散に駆け出した。逃げるが勝ちって言うじゃん!
「あっ、レオ・・・!」
~1時間後~
「うっ、いった・・・!」
「ふふ、もうシャツまで切れちゃった・・・。細いけど筋肉がバランス良く付いてて・・・触り心地が良さそうだなあ・・・。」
「ひっ!?」
あれからものの数分で捕まってしまい、俺は魔王に追い詰められる体勢になっていた。
最初のコメントを投稿しよう!