第1章

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「・・・・・・え・・・?」 俺の剣は、盾に塞がれた。あれ・・・?魔法使いは剣士の装備できないんじゃ・・・。 自分の常識が通用せず面食らったが、すぐに先程の出来事から納得した。 そういえば・・・、魔王は俺を片手で抑えられるほどの怪力の持ち主だったな・・・。あれだけの力があれば、剣士用の盾だろうとなんでも使いこなせる。 そうか、魔王に『常識』が通用する訳ないよな。・・・・・・もう距離を取ろうにも間に合わない。一撃目は、受けるしかないな・・・。 これから襲いかかるであろう痛みに身構えると・・・ 「・・・・・・我に仇なすものを、びしょびしょにしろ。」 「・・・は?え、ちょっ、どうゆう・・・」 ザアアアアア 「・・・・・・。」 俺の頭上にのみ積乱雲が出現し、魔王の詠唱どおり、『びしょびしょ』にされた。・・・・・・。 「・・・・・・いや何がしたいんだよ!?」 心からの叫びを魔王に投げる。すると魔王はいたずらっ子のような無邪気な笑みを浮かべつつ、また平然と告げる。 「いやー、水も滴るいい男・・・だね!」 「答えになってねぇよ!」 それに、いい男じゃなくて無様なだけだろうが。・・・・・・うわ、鎧の下のシャツまでぐっしょりだ・・・。 「そう、その顔!」 「は?」 「その、苦渋に満ちた顔・・・!最高に可愛いねぇ・・・!」 「・・・え?」 「それに・・・、全身ぐしょぐしょでいやらしいねえ・・・、次は、どんな魔法にしようかな・・・!」 あ・・・、あ、うあ・・・・・・。 「き、気持ち悪っ・・・!お前、よっぽどの変態だな・・・!!」 「事実を述べられても、一切傷つかないよ?」 すごい。こいつ真性の変態だ・・・。こんな、こんなやつと戦わないといけないのか・・・! 俺はある決断・・・いや、英断を下した。 「うわああああああ!」 一時退却、戦略的撤退。魔王のいる玉座とは正反対・・・はるか遠くに見える、部屋の出口へ一目散に駆け出した。逃げるが勝ちって言うじゃん! 「あっ、レオ・・・!」 ~1時間後~ 「うっ、いった・・・!」 「ふふ、もうシャツまで切れちゃった・・・。細いけど筋肉がバランス良く付いてて・・・触り心地が良さそうだなあ・・・。」 「ひっ!?」 あれからものの数分で捕まってしまい、俺は魔王に追い詰められる体勢になっていた。
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