8人が本棚に入れています
本棚に追加
・・・・・・。
・・・・・・。
2人の間に沈黙が訪れる。部屋には、振り子時計のカチッ、カチッという規則正しい音のみが響いた。
「・・・・・・いや、おかしいでしょ!ッ!・・・・・・いたたたた・・・。」
「ほら、さっきも言ったけど傷に響くよー?」
「あ、あなたが爆弾発言するからでしょう!?うっ、というか、あなたは誰ですか!?痛っ、」
パニックのあまり、痛みも気にせず失礼なことを叫んでしまう。言ってから気づいた。
曲がりなりにも、自分のことを介抱?してくれたようだ。やはり自分から名乗るべきだっただろうか・・・?
いや、しかし『杖で殴った』とは・・・?
悶々と悩んでいると・・・。
「あれ?名乗ってなかったかな?いやー、悪いね、すっかり忘れてたよ!」
先程までの微笑みとは打って変わって、無邪気な大笑いに変わった。そして────
「俺はシグルド。自分で言うのもなんだけど、この世界で一番強い、『魔王』という者だよ。よろしくね、勇者!」
────また爆弾を投げつけやがった。
「・・・・・・は・・・?」
もはやどこから突っ込めばいいか分からない。
とりあえず、
「えっと、シグルドさん・・・?あの、なんで俺のことを知っているんですか・・・?」
名乗ったはずは無いし、学生のように名札など着けていない。そこに突っ込んでみた。
「・・・・・・。」
「あ、あの・・・・・・?」
突然黙り込んでしまった。怖い、つかすっかり忘れてたけど、ここどこだよ。
さっきから魔王?が爆弾発言ばかりしていたせいで忘れていた恐怖が少しずつ湧いてきた。
「アハハハハ!フッ・・・クッ、フフ・・・。」
「!?」
沈黙が続く中、突然笑われるより恐ろしいことはないだろう。今ならそう思う。
「あ、だから、その・・・。」
「あー、ごめんごめん。いや、間抜けってゆーか、バ可愛いと言うか・・・。」
む。地味に失礼なことを言われたみたいだ。
笑いながら自称魔王はさらに言葉を続ける。
「いや、否定すればいいのに・・・。聞き返したら、肯定したのと一緒だよ?」
「あ。」
しまった。すっかりこの人のペースに乗せられていた。
最初のコメントを投稿しよう!