8人が本棚に入れています
本棚に追加
真っ白な光が一瞬だけ目の前を包み、視界が開けたときには・・・。
「どこだ・・・?ここ・・・・・・。」
俺と魔王は、ゲームとかでよく見るような『赤い絨毯が敷かれ、玉座がある灰色の壁が四方を囲む部屋』にいた。
「ああ、ワープ魔法初めてだったかな?」
「ワープ・・・。」
当たり前のように話すが、この世界でワープ魔法なんて最上級魔法の1つが使えるのは、1人しかいない。あくまで噂で・・・だが。
・・・・・・『魔王』のみだ。
そして、前世での記憶(ゲーム)では・・・・・・。この展開は・・・。
「じゃ、勇者・・・いや、手下達から聞いた話ではレオ・・・だっけ?」
シグルドはカツカツとブーツの音を響かせ、玉座に向かう。
「なんか・・・想像とは違うかもだけど。」
どこからか黒い王冠が現れ、シグルドの頭上に鈍く輝く。
「やっぱり万全の状態でシないと、面白くないでしょう・・・?」
玉座に悠然と座り、数段上から俺に語りかける。
「・・・・・・最終決戦、始めようか。」
不敵な笑みを浮かべ、『魔王』は言った。
「あの・・・・・・ちょっといいか?」
「ん?どうしたの?」
一応挙手をしてから疑問を投げかける。
「なんで・・・・・・俺をわざわざ体力MAXにしてから戦うんだ?」
「ああ・・・・・・。だって、目の前で、自ら傷つけていくのが楽し・・・いや、相手がボロボロの状態で戦うのは卑怯かなーと思って。」
明らかに最後のところが棒読みで、突っ込む気も失せる。こいつ・・・ドSか。
・・・・・・あれ?てことは俺、ただ殺されるだけじゃ済まないんじゃ・・・。
俺が嫌な予感に身を震わせていると────
「水の精霊よ、我が命に従い、我に仇なすものを・・・・・・。」
────魔王の呪文詠唱が始まった。しかし、呪文を唱えている途中で攻撃すればその効果は防ぐことができる。簡単に言えば呪文失敗だ。つまり、四の五の言ってる暇はない。
「呪文が長すぎたな、魔王!」
「!」
思いっきり叫ぶと、魔王の脇腹めがけて斬りかかった。
最初のコメントを投稿しよう!