363人が本棚に入れています
本棚に追加
アヤが部活のため、
教室を出て行くのを見届け、
ジンは、机に突っ伏した。
すぐに帰る支度をするのも面倒な程怠い。
自分の腕の中に沈めた顔、大きな溜息を吐いた。
湿った息が腕の中に篭もる。
体も気持ちも重い。
呼吸する事さえ重く感じ、
また 溜息を吐いた時。
バッシャーン…
誰かが教室の引き戸を勢い良く開けて飛び込んで来た。
その慌てた様子の足音がオレに近付き、
頭の上で、
「綾瀬が水嶋に襲われてる」
心臓がドクンと鳴った。
椅子を鳴らし立ち上がる。
椅子が後ろに倒れた時には、
ジンは教室を出る所だった。
走り出していたジンを追って、
「昇降口ー」
木下が叫んだ。
下校する生徒とぶつかりそうになりながら、
階段を2段飛ばしで駆け降りるジン。
靴箱の前、
ふたりが目に入った。
水嶋と目が合う、
片方の口角をグッと上げ笑った。
いきなりアヤにキスをした。
カァーッと、
一気に体中の血が頭に上る。
凄い速さで体の中を駆け巡る。
体が…頭の中が沸騰する。
「…ざけるなー!!」
大声で叫ぶ。
水嶋からアヤを引き離す、
興奮し過ぎていたジンは手加減が出来ず、
アヤを後ろに突き飛ばした。
アヤはその勢いに、後ろの靴箱に背中を思いっきりぶつけた。
『……っ』
顔を上げ、視線をジンに向けると、
右手の握り拳を、水嶋の顔に振り下ろした所だった。
「うりゃぁーー」
ガッ。
水嶋を殴りつけた。
最初のコメントを投稿しよう!