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私は国会議員だ、当選回数は連続15回、与党の議員の中でもベテランと言えた。
今日も私の所に大企業の役員が陳情に訪れる。
「先生! この法案は必ず通してください。
お願いします」
「任せておきたまえ。
ただし! 私の地盤に工場を建ててもらうよ」
「分かっています」
うんうん、今度の選挙も安泰だな。
翌日、生まれ故郷で選挙の地盤にある、選挙事務所に顔を出す。
後援会の人達が作成した選挙名簿を眺めていた私の耳に、事務所の扉が開かれた音が聞こえた。
名簿から顔を上げ扉の方を見る。
私は持っていた名簿を机の上に置き、入って来た人の下に歩み寄り、最敬礼の挨拶をした。
「先生お久しぶりです」
「元気かい?」
「はい、おかげさまで元気です」
私はこの先生にだけは勝てない。
この先生のおかげで貧乏人の小倅だった私が、高校を無事に卒業する事ができ、大学に進学が叶い、今こうして、国会議員を務める事が出来るのだから。
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