手の温もり

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やがて月日は流れ、りさ子は女の子を無事に生んだ。 小西は目の見えない自分が何の役にも立たないことを歯がゆく思っていた。 事あるごとにりさ子に謝っていた。 「すまないりさ子、お前には苦労をかけるな。自分の子供の顔も、見れないのは本当に情けないよ」と呟く。 りさ子は「あなた、大丈夫よ。目が見えなくても手があるでしょ。さあ、あなたの子供を抱いてあげて、そして頭や頬を撫でてあげて」と言うとりさ子は、小西にそっと赤ちゃんを抱かせた。 小西は抱いた我が子の柔らかさに驚いた。 そして、ミルクの匂いを嗅いでいた。 「りさ子、ありがとう。俺の子可愛いな、きっとべっぴんさんなんだろうな。柔らかくてふわふわでミルクの匂いがする」 「ええ、あなたこの子はあなたに似てとても可愛いわよ」と微笑む。 小西は目から涙を流していた。 「りさ子、俺目が見えないけれど、働くよ。この子の為に何かしてあげたいんだ。そうだ、点字を使ってできる仕事を探そう。この子の顔は見えないけれど、触るとこの子の顔が解る。俺この子の為にこれからは頑張って生きていきたい」と小西は力強く言う。 それを聞いた、りさ子は目に涙を浮かべながら 「ええ、あなた、頑張ってちょうだいね。二人で守ってあげましょう。この子はきっといい子に育つわ」と言うと小西と、我が子を抱きしめていた。 そしてりさ子の目にも光るものが浮かんでいた。                    終わり
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