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季節外れの雪が降っている。
湿った大粒の雪が強い風に吹かれて、叩き付けられるように降っている。通りを行く人や車は、その雪に急かされる様に行き交っていたが、その中で一人、その周りだけ時間が動かなくなってしまったように、じっと動かない女がいた。
女は、交差点の信号機の柱に身を隠すようにして、俯いたまま、じっと雪に打たれている。
黒髪に白髪が丁度半分ずつ混ざった、艶の無い長い髪を頭の後ろに一本に束ねている。薄手の薄茶色のセーターに、同じ様に薄手の黒色のカーディガンを羽織っているだけだが、寒そうにしている様子は無い。やはり、ただじっと雪に打たれながら、街中の交差点で、隠れるようにして、俯いて佇んでいる。
かなり細身の黒色のデニムパンツを穿いているが、それでも、ウェストにも、腿にもたるみが残っていた。
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