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……同窓会では、勿論、“彼”に会うことは出来なかった。子供だったのだ、我々は。
思春期で、様々な感情を抱き、未成熟な情熱に身を焦がしながら、我々は生きていた。だから、起こるべくして起こる、何もかもが。
僕達は出会うべきではなかったのか、あるいは、出会うしかなかったのか。今でもその疑問は、意味のない問い掛けは、僕の脳内を、幾度となく反芻している。
ーージリリリリリ!!
ホームにベルが鳴り響く。出発の合図だ。僕は出張中で、これから県外に仕事をしにいかなければならない。ドアが閉まる。窓から見えるホームでは、先輩らしきサラリーマンに、後輩らしきサラリーマンが、怒鳴られている。何か仕事で下手でもしてしまったのだろうか?
物悲しい、光景であった。胸を打つ、光景であった。こんなに感情に訴えかける場面は、いつ以来だろう。
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