第零夜。これが俺のやり方

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「仲間なんてヌルい事を言うなんて… バカだな。そんなに世の中甘くないよ?」 「…他に条件でもあるのか?」 「良いよ、気に入った。来いよ」 私はシンジを自分の部屋に招き入れた。 好奇心が湧いた。プライドなんてとうに捨てた。 自分が、負けを認めたワケではないが 勝ち負けより好奇心が勝った。それだけだ。 相手は錬金術師のやり方を分かっている。 錬金術師の基本は「等価交換」だ。 欲しいモノを手に入れたかったら、 同等のお金を支払う。それが賢者だ。 シンジと暮らしている内に判った。 シンジは「リアル脱出ゲーム」のような イベントに参加するのは好きだが、 頭が足りないので、クリアする力は無い。 その為の協力者が欲しかっただけだ。 だが、アルバイターでは相手にされない。 旧友すらも「まず、働け。話はそれからだ」 と剣もほろろな具合。解る。同感だ。 アルバイトを見つける力はあるが 「熱しやすく冷めやすい」性格なので 長続きした試しがない事も語ってくれた。 ちょくちょくではあるが、宝くじなどで お金を稼いだり、リアル脱出ゲームの 報奨で食い繋ぐのがやっとのダメ人間だ。 それがシンジだった。 モノを探す能力には長けていたので それを「探神(さがしん)」と命名した。
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