灰色の景色

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時代は流れ、清二と静江の孫の宮田翔太が今年 18歳になった。付き合ってもうすぐ二年半の 彼女と油壷マリンパークへ遊びに行く計画を 楽しそうに立てている。その様子を清二は静江 と一緒に天国から微笑ましく見守っている。 「あの子笑うと貴方ソックリね。」 「喋り方は静江さんにホント似てるよ。」 あの日二人が沢山沢山話した様に、若い二人も 油壷へ行くまでの間、色鮮やかな外の景色を 眺めながら沢山沢山話をするのだろう。 野比海岸にも足を運ぶかも知れない。 二度目の東京オリンピックももうすぐだ。 宮田清二は信じている。もう誰も死の訓練を 受けるコトの無い世の中を。 京急線に乗って学校に行く。会社に行く。 遊びに行く。それは決して「当たり前」では 無いと言うコトを、時々思い出して噛み締めて 欲しいと願っている。 未来へ伝えて行くべき、大切な歴史がある。
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