一日目

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スマイル。 みんなにとっては笑顔。 俺にとっては悪魔。 2015年12月7日。 俺たちは、 学校にいた。 今日が、 日常を破壊する日だと知らずに。 8時19分。 突然、 悲鳴が鳴り響いた。 「ぎゃあああああああっ!」「きゃあああああああっ!」 そして、 男子児童の金切り声と共に別の男子児童の叫び声が聞こえた。 「うわぁっ!ろ、 ロボットが、 人を殺したーっ!」嫌な予感がした。 それは、 皆も同じだった。 教室の後ろの扉から、 逃走の滝が流れた。 俺も、 震えながらその滝に飛び込んだ。 8時22分。 俺は一階と二階を結ぶ階段を降りていた。 まもなく踊り場に着くというところで、 背後から機械音がした。 体が震えた。 俺は、 ゆっくり後ろを振り返った。 そこには、 人の形をしたロボットがいた。 ふと、 俺はロボットの左腕を見た。 何かが書かれていたからだ。 『スマイル』と書かれていた。 周りにいた児童はもういなくなっていた。 スマイルに血が付いていた。 俺の頭に、 数分前の事が再生された。 その瞬間、 俺は階段を思い切り駆け降りた。 階段の前で集団が話していて邪魔だったが、 何とか隙間から右に曲がれた。 スマイルに気づいたのか、 集団が一斉に逃げ出した。 俺は、廊下を突っ走った。 しばらくすると、 あることに気がついた。 機械音が、 全く聞こえないのだ。 後ろを見ても、 スマイルはいなかった。
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