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「私は何も危害を加えていないぞ」
「そりゃあそうですけど……何がなんだか、分からなくて」
ここはどこなのかも分からず、誰かも分からない者に何をされているのかも分からない。未知を恐るのは生物として当然の生存本能。
が、その程度のことは目の前の竜も理解していた。ただ一方的にこの状況や司の情報を知っているが故に気付くのは遅れたが。
「……そうだな。今更だが、少し説明をしておこう。私の名前はゼロ、一応この国の王をしている」
「……!?」
この国と言われてもどの国のことだかさっぱりだが、外見のみならず肩書きも只者ではないと分かり司は余計に固くなった。
「そ、そ、そうなんですか。さっきは大きい声出しちゃってすいません……」
「萎縮するな。私はそんな風に思われたくない」
先程のやり取りに然り、どうもこのゼロと言う竜は相手に恐れられることを嫌がっているようであった。
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