魔法陣、異形の地にて

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僕はその日、とても疲れていました。 高校受験です。来る日も来る日も、毎日終わりのない勉強と周囲からの重圧に心身共に限界だったのです。 クリスマスも、大晦日も、ずっと沈んだ気分のまま。目の前の現実よりもそんな自分を変えたくて、普段滅多に体を動かさない僕が初詣で山登りなんてしたのが間違いでした。 雪解け水でぬかるんだ山道。気が付けば、足を踏み外して斜面に投げ出されて…… そこから先は覚えていません。 ただ一つ確かなのは、生きていること。 蒼白い、魔法陣の中で。
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