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「ほら見ろ!できたぞ一回転!」
「すごいすごい!」
あれから暫くして、リフティングに夢中な二人には先程見せた暗い表情などもうどこにも見当たらない。
その代わり、今度は司が表情を強ばらせていた。
(もう、これ以上は勘弁して欲しいな……)
別に飽きた訳ではないが、ルシアとジークに比べればまだ年上だろうと言うだけで司も子供であることには変わりない。練習の片手間と言え自分が六年間賭けて練習してきた技を一瞬でマスターしてしまう二人に少しヘソを曲げたくなったのだ。
我ながら嫌な思考回路であることは分かっている。しかし他人との競争を余儀なくされる受験勉強で歪んだ価値観は、そう簡単には戻らないのだ。
「どうしたのお兄ちゃん。疲れたの?」
「まあ、そんなところかな……」
教えられる技も無くなり、いよいよギブアップと言う司に思わぬ助け舟が現れた。それは緩やかな風に乗って、司の背中に突然舞い降りる。
「うわっ!?」
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