気ままな風に連れられて

20/20
594人が本棚に入れています
本棚に追加
/872ページ
「全く、世話がかかるぜ」 気が付けばジークも真下にいた。宙にぶらりと浮かんでいる司の足を背中で支えようとしているのだろう。 しかし背中を靴の裏で踏むのは嫌だったので、司は自分の命が掛かっているこの状況でわざわざ脚をたたんで膝をやんわりとその上に乗せる。 「っ……!?結構、来る……」 「僕も手伝うよ!」 ケセルよりも飛行能力は高くないジークには、自分より大きい司の体重を支えるのは厳しかったようだ。計画を変更し、ルシアとジークに両膝を置いて司はひと時の休息を得た。 「で、どうするのお兄ちゃん。降りる?」 「いいや。もうちょっと頑張ってみようかな。空を飛ぶのは凄く楽しいからね」 司はもう一度リングを握り直した。下からではケセルの表情はよく見えないが、きっと嬉しそうに笑っている。 「へえ、意外と根性あるじゃん。頑張りなよ。時々休ませてやるからさ」 「はは……お願いしようかな」 こうして司は、三人と共に空を飛びながら街を目指すのであった。
/872ページ

最初のコメントを投稿しよう!