Ab-No-Anomaly

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事前の調整でゼロが不在の期間における面会や会議を不自然さを感じさせない限界の範囲で減らせてはいるが、それでも避けられないイベントはいくつか存在している。概要の説明を終えたゼロは、一夜を費やして三人の頭に今後の国務を叩き込んだ。 「さて、と。今日から正念場が続くのね……」 ロゼルサスが翌朝目を覚ました頃、既にゼロは城を後にしていた。正確にはいつの間にかベッドに潜り込んでいたアノマリーとすり替わっていたが、妙な色気に溢れた寝相でロゼルサスは事の始まりを感じた。 「おはよう。ロズ」 「・・・・・・」 アノマリーは開口一番、ゼロがプライベートでしか口にしない愛称でロゼルサスを呼んだ。本人でないことが分かり切っているタイミングでその行為に及ぶのは冷やかしも同然であり気安く呼ぶなと突っ撥ねそうになったが、肝心な時にボロを出さないためにも本来口調を真似る必要のない普段からこのような振る舞いを許そうと決めた。 「ねえ義妹ちゃん。ゼロは普段朝はどうしてるの?」 「寝る時間が短かった場合は目を覚ますためにシャワーを浴びるわ。今日の場合は……」 「なら私も入ろうかしら。昨晩はゼロがいたから、子供達に会わないためにずっと隠れてたのよ」 「そうね。良いんじゃないかしら」 不真面目な態度を取りながらも、一度やるとなれば細かい部分まで気を回してくれている。それを知ったロゼルサスはアノマリーを外に出すことを躊躇わないことにした。 「ところで、義妹ちゃんはその時どうしてるの?」 「大体は朝食を作ってるわ。ゼロはできる限り子供と一緒に食べようとしてるけど、忙しい時は先に済ませてるわ」 「それはどのくらいの頻度で?」 「場合にもよるけど……色々なスケジュールが重なって忙しい時期なら、一週間くらい子供と一緒に食事ができないことはあるわね」 「なら私が入れ替わってる間、食事はずっと別にしても不自然には思われないってことね」 「……そうね」 子供に正体を勘付かれないためにはそれが最も優れた選択だが、ロゼルサスはどこかやるせない気持ちになった。
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