Ab-No-Anomaly

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ロゼルサスは空になった皿を盆の上に戻すと、それと入れ替えるようにしてティーカップを始めとする煌びやかな食器を大きなテーブルの上に二人分並べた。 これはアノマリーと食後のティータイムを取るためではなく、これから訪れる客人を持て成すためである。ロゼルサスは会議や面会そのものに同席することは殆どないが、このような事前準備は率先して手伝うことにしていた。全てはゼロの作業を少しでも減らして楽をさせたいがためである。 「ねえ本当に次の面会要るの?橋の件はもう書類でオッケー出してるんだから会う必要ないじゃない」 「仕事の流れでは必須じゃなくても、行政の要人とコミュニケーションを育んでおくのはとても大事なことなのよ。話をしやすい人だと思ってもらえれば、何かトラブルが起こったり不審な出来事があった時は直ぐに報告してもらえるようになるわ」 「それはごもっともだけど……優先順位間違えてる気がするのよねえ」 しかし既にスケジュールを確保してしまった以上、無碍にすることもできない。先程とは逆にアノマリーが折れる形で午前最後の仕事に臨むことになった。 『ゼロ様。お客様がお見えになりました』 「うむ。案内してやってくれ」 「じゃあ後はお願いね。ゼロの沽券にも関わってるんだから、くれぐれも真面目にやってちょうだい」 「分かってるわよ」 レイがドアの外から来客を告げると、アノマリーはもう一度身だしなみを整えロゼルサスは客人とはすれ違わない別の通路を使って退室した。 「ど、どうも、この度はお招き頂き心より感謝申し上げます……」 (あらまあ) 万全を期して迎え入れた町長は、体躯の小さい兎の獣人であった。
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