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「あっ……!」
しかし、そういつまでも後手に回っている場合ではなくなってきた。確かめたわけでもないが先程から自分を閉じ込めている魔法陣が、段々と小さくなり始めた。
「ちょ、ちょっと!」
抗議の声を上げれば、竜には眉にシワを寄せて睨まれる。しかしこんな状況で落ち着いていられる筈もない。
小さくなり続けてると言うことは、その内自分に届くことになる。もしそうなれば押し潰されてしまうのか。自分は何かしらの儀式に生贄として選ばれてしまったのではないだろうか。
一度考え出すともう止まらなかった。逼迫した状況が頭を混乱させ、被害妄想が次から次へ浮かんでは弾ける。言葉を訳す試みをしていたのだからそれはないだろうと判断する余裕すら無い。
「大人しくしていろ。悪いようにはしない」
そのことを冷静に竜から告げられ、イチかバチか青い結界に体当たりしようとしかけた司は再び椅子に腰掛けた。
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