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それから数分後、体感では数十分の時が過ぎてようやく嵐は止んだ。
「じゃあ、お父さんが帰って来た時何か贈り物をするって言うのはどうかな……」
「それくらいなら良いんじゃない。と言うか、最初からそうしておきなさいよ」
「ご、ごめんなさい……」
平謝りするマグナに重ねて釘を刺すと、ようやくレミューリアは溜息を吐いてその場を去った。此処は元よりレミューリアとラルフィのテリトリーであるためその先は氷のダムの内部ではあるが、それでもこの場にいたほぼ全員が姿勢を崩してへたり込んだ。
「しんどかったー!」
「今日は特にこっぴどくやられたなあ」
仰向けになっているマグナを慰めるケセルを見て物珍しそうにしているメンバーはいない。司はそこから程度の違いはあれど、マグナがレミューリアにやり込められるのはよくあることなのだろうと察した。
その後はどうやってゼロを労うのかと言う話になるものかと思われたが、先ほどの出来事で興が大きく削がれてしまったため一旦は解散すると言う運びとなってしまった。
「さあて、オレは城に戻ってひと眠りするかな」
「そう言えばこれだけ集まるのも久し振りだよな。シダは今日バイト休みなのか?」
「ああ。確かに言われてみれば最近は一緒になることが少なかったな。大抵は学校が忙しい休みの日にオレがバイトで、それが休みの日は逆にお前達が学校でいない」
「それで帰って来る頃にはケセルと一緒に天気の管理をする仕事に行っちゃうもんなあ」
ジークとシダは互いの会話で何気ない今日が貴重な日であったと知ると、このまま別の予定を後に入れるのが俄然惜しくなった。
「じゃあ今日は、久し振りにオレの部屋でボードゲームでもやるか。確か小遣いで新しいやつをいくつか買っておいたのを思い出した。父さんに買ってもらったやつじゃなくて、オレが面白そうだと思って自分で選んだやつだ」
「良いね、やろう!」
ジークだけではなく、萎びていたマグナやケセルも英気を取り戻さんとそれに賛同した。
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