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どんどん竹藪のなかに入っていくと、たけねこが地面からニョキリと生えているのを見つけたのです。
「たけねこ、たけねこ」
わたしは喜びながら近づきました。
そして、たけねこを抜こうと持ち上げると──
ぐちゃり!
たけねこの首がもげたのです。
「ひぃいっ!?」
わたしは驚いて尻餅をつくと、
「駄目じゃないヒメ。隠れてたけねこを抜こうとするから首が取れたでしょう」
懐中電灯の明かりに、血だらけの鎌を持ったお母さんが映ったのです。
「でもこれで、ヒメも猫神家の一員になったわね」
お母さんが優しい笑顔で言いました。
──大きくなって知ったことは、猫神とは犬神と同じような呪術だということです。
それは蠱毒の一種で、地面に動物を首だけ出して埋め、それを餓え狂わせてから首を刈ることで怨念を呪いに利用するおぞましき呪法です。
猫神の我が家は、それを猫で成して現世利益に利用していたのでした。
それがために一族の人間は短命で、わたしの親も猫神の呪法で身を滅ぼしたのです。
体のなかで脈打つ猫神の血筋という、どうしても勝てない相手が苛み蹂躙する。
そしてわたしは──母の後を継いで今、たけねこを刈っています。
──たけねこ 卒。
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