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で、肝心のりゅーぞーじくんのステータスはと言うと。生憎こちらから話し掛けるということはしない。する必要がなかった。
「凄え、龍造寺!お前全ステータス100超えてんじゃねえか!」
誰かがそんなことを言った。なにそのハイスペック頭おかしい。
まあ、このステータスもどちらかというとポケ◯ンの努力値みたいなもんだろうから一概にあいつの腕っ節が俺の五倍ってわけでもないのだろうが、にしてもこの理不尽ここに極まれりってのは度し難い。
スキルだって何一つ分かってないし、こりゃ非戦闘員真っしぐらだな。とりあえずこれはアンネゲルドさんに聞こう。
「あの、すみません。アンネ……ゲルドさん?この《???》って何ですか?」
「ん?ああ……これは、解放するために何らかの条件を満たさないといけない類のものですね」
おお、俺のステータスを見ても表情を変えないとか大人だ。なお後ろのおっさんは渋面だった模様。つか覗き見んなや。
「何らか、ですか……」
「何らか、ですね……」
いかん、アンネゲルドさんがしょんぼりしてしまった。どうしようどうしよう。鉄仮面だとばっかり思ってたからちょっと意外。
「えと、俺のステータスこんなんなので、魔法の練習とか教本とかあったら教えてほしいです」
「!!それでしたら、この王城に書庫があるので後で案内しましょう。タケル君さえよければ練習にも付き合いますよ」
マジか、これは願っても無い僥倖だ。ありがたい。
「いいんですか!それではお願いします!」
アンネゲルドさん美人だし、手解き受けられるとか最高かよ。いやっほう。
「うおっほん。さて勇者様方の部屋は城の従者に案内させるので、これより自由行動ということで。それから最後に、戦闘訓練の指南役であるラウル・シュベスタだ。武器の扱いなどは彼に教えてもらうといい。参考程度に、彼のステータスはそのどれもがおよそ300だ」
おっさんが一つ咳払いして、一人の壮健な男性を紹介した。めっちゃイケメンだった。興味失せた。
「あの、アンネゲルドさん、今すぐにでも大丈夫ですか?」
別に魔王を倒したいとかそんな高尚な理由は持ち合わせていないが、この世界で生きていくためには明らかにこのステータスはディスアドバンテージだ。常識も知識も足りないし、蓄えておくに越したことはない。
「はい、任せてください!では書庫へ案内しますね」
そそくさと歩き出す。
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