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「えと、では失礼して……アンナさん、早速ですがご教授よろしくお願いします」
「はい、任されました。タケル」
とまあそんな感じで俺とアンナさんはイチャイチャしつつ(してない)、『魔法学基礎論』を読み進めていく。とりあえずこの本や他の本の内容が合っているという大前提の下、俺の知識と照合していこう。
「紙とペンってすぐに用意できますか?」
アンナさんに問う。勉強して得られたことを書き留めるためだ。印刷技術が発達していない以上、製紙技術がそこまで発達しているとも思えないので、よくて中質紙かなあと、朧気に思っていた。
「はい、大丈夫ですよ。ご用意しますね」
ホントもうおんぶに抱っこ状態である。
数ページ読んだ感想としては古代から中世にかけてのヨーロッパ他各地で流行ったような四大元素(エレメント)説が主流のようだ。どの世界の人間も考えることは同じか。
四大元素――つまり、火、水、土、風の四つの属性を基本として、後はそれらの組み合わせであるとする理論だ。よくファンタジーの題材にも使われたりするが、実際にお目見えするとなんだか感慨深い。雷はこれらに含めないらしい。雷は神鳴りとも言うし、神の御技であって人間の手が届く領域ではない、というのが通説だそうだ。
続いて魔力。魔素と呼ばれる、魔法を使用する際に消費される物質が実験により存在すると提唱されたらしい。ステータスにあったMPという項目は、多分体内に存在する魔素の保有量だろう。
「とりあえず百枚ほど用意しましたので足りなくなったら言ってくださいね」
「すみません、ありがとうございます」
戻ってきたアンナさんに、魔力をそのまま放出するとどうなるのか実際にやってもらった。
なんとなくだが、ぶわーっと風が吹いてるような感じがする。多分これが魔力の正体だろう。目で見えるわけでも耳で聞こえるわけでもない、五感で察知してるのでないとすれば、やはり第六感だろうか。あるいは魔覚とでも名付けるべきなのかもしれないが。
で、肝心要の魔素だが、読んだところ、質量を持たない量子と思ってしまうのが一番しっくりくるのだ。 光子に通ずるところがありそうである。実際にそうだとは断言できないし検証する方法もないのだが、魔素の性質を考慮する限りではそう判断できる。
「あの、アンナさん。何もないところから例えば金銀を生成するなんて魔法ってあったりします?」
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