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お城の人に用意してもらった朝食を食べて、外へ向かう。途中すれ違うクラスメイトから昨日何をしていたのかなどを聞いたり、玄関の場所を聞いたりした。
どうやら他のみんなはあのイケメンの……あの人に剣の心得を請うていたらしい。名前を忘れたとかそんなんじゃないぞ。そんなんじゃないったら。
どうにか王城の外に出られたので、魔法の練習ができそうな目ぼしいところを探してみる。遠くから掛け声が聞こえてくるのだがあれは騎士団みたいな集団だろうか。チラッと様子を覗けば、青年からおっさんまで選り取り見取りである。選びたくねえな。木製の剣を振っての訓練だろう。もう少し離れたところで練習しよう。
「この辺でいいかな。さて、と」
思い浮かべるのは燃焼。いわゆる火属性の魔法。指南書には初級だとか中級だとかが書いてあったが、結局のところ効果範囲、火力の差でしかない。ちゃんとしたイメージさえ持てればどんな形態にも変化し得ることは昨日立証済みである。
燃焼の三要素、可燃性物質、酸素、温度のうち、魔法による燃焼で魔力が代替するのは可燃性物質の部分。つまり燃料だ。魔素はエネルギーの塊のため、そのまま熱に変換される……のだと思う。
つまり、この魔素を任意の形に練り上げることができればそれに伴って炎も色んな形になるというわけだ。例えば火属性初級魔法のファイヤーウォールは呪文詠唱やスペル名という言語により、精神に直接はたらきかけて無意識に魔素を壁状に練り上げさせることにより発動する。今回は詠唱の補助なしにこれを意識的に行う実験である。
まずは球体を作る。これは簡単だ。無秩序にふわふわしている魔素を握るイメージでいい。そこから薄く引き伸ばして壁を作っていく。
壁……壁……薄く……もっと薄く……。
第六感――魔覚で魔素を知覚して、体内の魔素を繰って空気中の魔素を伸ばすのだ。集中力が尋常じゃないほど要される。
直径三十センチほどだった塊を薄く伸ばして一メートル四方の壁に。……もうそろそろいいだろうか。点火。イメージは先程と同じように燃焼。
ボッ!
「おお……」
これは感動するなあ。せっかくだしステータス確認しとくか。
LV 1
HP 150/150
MP 200/250
STR 20
VIT 30
DEX 80
AGI 20
INT 70
MGR 10
LUK 10
《ファイヤーボール》《ファイヤーウォール》
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