エナジードリンクですか?いいえ、エナジードレインです。

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確かにMPが減っていた。そりゃそうか。名前の表示は割と鬱陶しかったのでオフにしてある。DEXやINTは勉強と実験の成果だろう。それよりも一番下、スキルが二つ顕現していた。 更に下へスクロールすると、例の≪???≫がお出ましだ。ホントこれどうしたもんか。 さあ実験の続きだ。偏に燃焼と言ってもその形態は様々だ。例えば爆発。急激な燃焼に伴い、音や衝撃を発する現象を指す。つまり、燃焼さえ起こせるのなら爆発だって起こすことが可能ということ。まあ、理論上は、だが。 今回選んだのは粉塵爆発。最近なんかだと知識で成り上がる系のラノベでもよく出てくる、オタクの必須知識だ。そんな粉塵爆発に必要な粉塵雲の代わりに魔素で代用する。上手く爆発が連鎖するかは粉塵――今回は魔素――の密度に依存するため、何度か検証する必要がありそうだ。 その日、王城の敷地内で謎の騒音魔が出現したとか俄かに噂されたが、そんな人俺は知らない。 翌日。朝、起きた俺の目の前に立っていたのは何故か激おこぷんぷん丸なアンナさんだった。 「どうして昨日誘ってくれなかったのですか!?」 そこかよ。思わず内心でツッコんだ。まあ、魔法で宮仕えする身としては、どうしても気になるものなのかもしれない。実際、爆発やエクスプロージョンといった名前の魔法は存在しなかった。 誘って云々に関しては……そこまで気が回っていなかった、と正直に答えるべきなのだろうか。難しい。 「えっと、今日はちょっと試してみたい魔法があるので、見てもらってもいいですか?」 と言うと、アンナさんの顔が一気に華やぐ。……案外チョロいなこの人。失礼に値するから言わないけれど。 さて今回試すのは転写の魔法である。これがあるのとないのでは勉強するにもかなりの差が出るのだ。何より、印刷技術そのものなのだから技術革新としてはむしろ注目されて然るべき分野だとすら思う。 「この世界の地図とかってあります?あとそれと同じ大きさの紙も数枚欲しいです」 やや無遠慮な物言いになってきたが致し方ない。慣れというやつである。 「その前に、朝食を摂られてはどうでしょう?」 確かに。 ということで食堂に向かうと、ちょうど香織と鉢合わせた。なんつーか、凄く久しぶりに感じるなあ。 「あ、健!一緒に食べよ!」 「ん?ああ、いいけど……アンナさんは?」
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