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自称ではあるがサキュバスの王――女性だし女王だろうが――を相手にピンピンしており、なおかつまだビンビンしてるなんてないのだ。ないったらないのだ。
さて、状況の整理が追いついていない諸君、せーのっ。
「どうしてこうなった」
とまあそんなわけでお決まりの回想シーンである。朝、女子中学生のボディプレスで起こされるのが俺の日課だ。日課って何だ嫌だよそんなバイオレンスな朝。
「よう我が妹よ、いい加減兄の土手っ腹に大穴開けようとするのはやめてくれ」
「よう我が兄よ、そいつぁできない相談だな」
何でお前の方がブラザーっぽい喋り方してんだよ。つか何でできないんだよやめろよ。
「わぁーった、起きるからそこ退いてくれ、早苗(さなえ)」
「仕方ないなあ、今回だけだぞ」
いつも退けよ。
もそもそと俺の上から早苗が下りる。もう制服に着替えていた。布団を素早く畳み、カーテンを開ける。眩しい。閉めた。今更妹に見られても困るものではないのでそのままクローゼットを開けて制服に着替える。こいつだって風呂上がりなんかは下着姿で家の中うろちょろするしお互い様である。
「あら、健(たける)おはよう」
一階に下りればすぐさま挨拶が飛んでくる。
「はよー」
ダイニングテーブルには母親が作ってくれた朝食が並んでいた。
「卵焼きは早苗が作ったのよ」
マジか。なんだかんだ俺の味覚を一番良く知ってるのはこの妹だったりするので、実は早苗の作る料理は割と好きだ。本人に言ったら調子に乗るから絶対に言わないけど。
座って卵焼きを一口。うん、美味い。
「どう、お兄ちゃん?美味しい?」
「美味い」
素直に答えるくらいはいいだろう。こんな言葉で顔を綻ばせるのだから我が妹ながらチョロいものである。
朝食も早々に、俺たちは家を出る。学生なので学校へ行かねばならない。あー行きたくねえ。
「うわー学校行きたくねーって顔してるよお兄ちゃん」
「だって行きたくねえもん」
針の筵だからなあ、あそこ。視線が痛いのなんのって。別に俺は何も悪くないのにさ。
「あー健、早苗、おっはよー!」
出た元凶。噂をすれば影、というかこの場合は悪魔である。
「んだよ香織(かおり)、朝っぱらからうるさいな」
やたらハイテンションな幼馴染を睨めつける。……が効果はないようだ。知ってた。
「えー、そう?このくらい普通だよ?」
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