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金銀……あとは琥珀に瑪瑙だろうか、色とりどりの貴金属やら希少鉱石で彩られた床や壁や天井。ミリのズレも許さないほど細かく刻まれた装飾の数々。バロック建築だったっけか、こんな感じのものを世界史の資料集で見た覚えがある。
「えっと、すみません、あなた方は一体……」
そんな中、口を開いたのはやっぱりと言うべきか、りゅーぞーじくんである。
「ああ、すまなんだ。自己紹介がまだだったな。私はハーゲンヴェルト王国国王、ボドウィン・ハーゲンヴェルトだ。隣は娘のシャルテ」
おっさんに追随する形で頭を下げる美少女。お姫様みたい。いやお姫様か。うわ実感湧かねえ。まあどうせりゅーぞーじくんのハーレム要員になるんだろうが。
「ハーゲン……ヴェルト……?」
聞き慣れない単語を反復するりゅーぞーじくん。多分みんなも同じことを思っただろう。ハーゲンとかどこの高級アイスクリームだよ。
つか日本語が通じるところが驚きである。というかそもそも日本語なのか、という疑問もあるが、まあそれはすぐにでも分かることだろう。
「うむ、召喚魔法で、勇者様方をこちらの世界にお呼びしたのだ」
微妙に返答になってない気がするが、概ね理解できる。こちらの、ということは別の世界の存在を認知しているってことか。そりゃ召喚魔法なんてものがありゃ、異世界くらいあってもいいかみたいな認識にはなるか。ねえ奥さん、魔法ですってあらやだ私ワクテカしてきたわ。
「はあ。あ、僕、龍造寺智也(ともや)っていいます」
次にりゅーぞーじくんは問題の核心をつく問いをかける。
「それで――僕たちは何のために呼ばれたんですか?」
勇者だというのだ、ある程度展開は読めてしまう。
「各地に散らばった七つの宝玉を集めてもらいたい」
なにそのドラゴ◯ボール。 いや、ちょ、ええ……。まあそりゃ魔王退治だーとか戦争だーとか言われるよりはまだマシ(かどうかは怪しいところではあるが)だけど、よりにもよって何でドラ◯ンボールなんだよ。
「その上で魔王を退治してもらいたい」
あっ結局するんですね魔王退治。殺伐ぅ。
「まあそれは構いませんが」
いやいや待って。チミチミ、なに「あ、ごめんちょっとこれ片付けといてくれる?」「あいよ」みたいなノリで返事してんの?
「全て片付いたら、元の世界に帰れるんですか?」
あちゃー……。りゅーぞーじくん、それはフラグってもんですよ。
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