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「そんな真面目な子が――複雑で赤裸々な恋愛を?」
「……へ?」
「僕なら君の本を買うね」
耳を疑う
甘い声で囁いて。
「あ……」
先生は見せつけるように
薬指から引き抜いた結婚指輪を
テーブルのアクセサリートレイに放り込んだ。
「ん?」
「いえ……」
一連の動作は
僕が何も知らなければ
なんら不自然なものではないのかも。
「先生」
だけど
彼の正体を知ってしまっているからこそ。
「それで僕は――合格ですか?」
立派な誘惑に見えるのだ。
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