episode192 肩すかし

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ドアノブをひねった向こう側。 「……!?」 僕は意外な人の姿を見て 思わずも一度扉を締め直す。 「どうした?」 「いえ……」 幻覚か。 目の錯覚かもしれない。 あるいは 再び悪さを仕出かそうとしている罪悪感から――。 なかなかドアを開けない僕に 業を煮やしたように。 「あ……」 後ろから先生がドアノブを回した。 「失礼――彼がこちらだと聞いたもので」 間違いじゃない。 美しい指先。 誰より物腰の柔らかいこの態度。
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