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ドアノブをひねった向こう側。
「……!?」
僕は意外な人の姿を見て
思わずも一度扉を締め直す。
「どうした?」
「いえ……」
幻覚か。
目の錯覚かもしれない。
あるいは
再び悪さを仕出かそうとしている罪悪感から――。
なかなかドアを開けない僕に
業を煮やしたように。
「あ……」
後ろから先生がドアノブを回した。
「失礼――彼がこちらだと聞いたもので」
間違いじゃない。
美しい指先。
誰より物腰の柔らかいこの態度。
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