episode192 肩すかし

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教授室の外に出ると ごく間近に止めた白いポルシェに乗りこむや。 「驚いたよ」 九条さんは夢から覚めたみたいな顔で頭を振った。 仕事の合間を抜けて 僕をランチに誘いに来たという。 「あの人あなたの何?」 「だから家庭教師の先生だったって……」 シートベルトを掛ける手が 不器用にくるくる滑ってらしくない。 「それは聞いた。それから?」 彼のシートベルトを掛けてやりながら 僕は意地悪く問い詰めた。 「まいったな」 いつもと立場が逆転したように 九条さんは天井を仰いで目線を泳がせる。
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