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教授室の外に出ると
ごく間近に止めた白いポルシェに乗りこむや。
「驚いたよ」
九条さんは夢から覚めたみたいな顔で頭を振った。
仕事の合間を抜けて
僕をランチに誘いに来たという。
「あの人あなたの何?」
「だから家庭教師の先生だったって……」
シートベルトを掛ける手が
不器用にくるくる滑ってらしくない。
「それは聞いた。それから?」
彼のシートベルトを掛けてやりながら
僕は意地悪く問い詰めた。
「まいったな」
いつもと立場が逆転したように
九条さんは天井を仰いで目線を泳がせる。
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