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物事はいつだって
そう単純じゃない。
首を傾げる僕に
「だから僕が彼の――」
「ああ」
先生のファーストキスのお相手だったってわけか。
「でも……」
「僕が14で彼が18だった」
「随分なスロースターターで」
「真面目な人だったんだ」
先生を庇うように九条さんが言うから。
「へえ~。じゃああなたが誘ったんだ?」
売り言葉に買い言葉じゃないけれど。
「どうしてそうなる?」
「家庭教師を誘惑するなんて!不良!」
「いいかい?もう10年以上前の話だから時効だし。それに――僕にだって生意気な時期はあったんだ」
「はぁ?!」
否定しないから余計に
僕は躍起になる。
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