episode192 肩すかし

21/30
前へ
/30ページ
次へ
物事はいつだって そう単純じゃない。 首を傾げる僕に 「だから僕が彼の――」 「ああ」 先生のファーストキスのお相手だったってわけか。 「でも……」 「僕が14で彼が18だった」 「随分なスロースターターで」 「真面目な人だったんだ」 先生を庇うように九条さんが言うから。 「へえ~。じゃああなたが誘ったんだ?」 売り言葉に買い言葉じゃないけれど。 「どうしてそうなる?」 「家庭教師を誘惑するなんて!不良!」 「いいかい?もう10年以上前の話だから時効だし。それに――僕にだって生意気な時期はあったんだ」 「はぁ?!」 否定しないから余計に 僕は躍起になる。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

159人が本棚に入れています
本棚に追加