episode192 肩すかし

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「和樹くん、パラダイム・シフトだよ」 「は?」 「こういう時こそ、逆転の発想だ」 「というと?」 「そういう相手だからこそ何とかしてやろうと思わないか?」 「……つまり?」 「分からないのか?14歳の九条敬の唇を奪った男だぞ?」 多分 僕はまた 錬金術師の術中に嵌り始めている――。 「14の彼を想像してみろよ?まるきり朝露を湛えた白薔薇の蕾だ。君でさえ味わったことのないそんな彼の唇をあの男は――な?憎らしいだろ?」 「たしかに許せない……」 「ほら、復讐だ」 「復讐ですね」 とは言ったものの。 「それって逆転の発想というんですか?」 ますます 乗せられてるだけのような気がしてくる。
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