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「和樹くん、パラダイム・シフトだよ」
「は?」
「こういう時こそ、逆転の発想だ」
「というと?」
「そういう相手だからこそ何とかしてやろうと思わないか?」
「……つまり?」
「分からないのか?14歳の九条敬の唇を奪った男だぞ?」
多分
僕はまた
錬金術師の術中に嵌り始めている――。
「14の彼を想像してみろよ?まるきり朝露を湛えた白薔薇の蕾だ。君でさえ味わったことのないそんな彼の唇をあの男は――な?憎らしいだろ?」
「たしかに許せない……」
「ほら、復讐だ」
「復讐ですね」
とは言ったものの。
「それって逆転の発想というんですか?」
ますます
乗せられてるだけのような気がしてくる。
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