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「まあまあ。細かいことは気にするな」
僕との禅問答に飽きたのか。
椎名さんはそうまとめて。
「ともかくだ。君が誘惑して貶めるべき相手は彼で――天宮和樹なら必ずやってくれる。だろ?」
断り辛くなるよう
うまく僕を持ち上げる。
「で?次の手は打ってきた?」
「それはまあ。明日も会う約束をしましたけど……」
「ほら、さすがじゃないか!」
――しまった。
「それじゃ、引き続きよろしく頼んだよ」
「あ、ちょっと椎名さん……!」
完全に引き受けた形で
早々に電話を切られてしまった。
「ったく……」
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