159人が本棚に入れています
本棚に追加
「名乗れよ」
「ええっ……でも……」
受話器の向こう。
イチャイチャした押し問答の末。
「あ、どうも。野島祐樹です……」
ビンゴだ。
昼間泣いてたあの茶髪の彼が
恥ずかしげに僕に挨拶する。
「なんだよ。傷心につけ込んでもう物にしたの?」
「悪く言うな。慰めただけさ。泣いてる子は放っておけない。だろ?」
声を潜めて
「それとも妬いてるのか?オフィーリア」
「ハァ……」
椎名さんは得意げに
僕の溜め息をかき消した。
最初のコメントを投稿しよう!