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「……っ!」
あまりに驚いて
引きつけを起こしたように。
「先生……それは……」
微動だにできず
僕はその場に立ち尽くした。
「回りくどいやり方は嫌いなんだ」
彼が手にしていたのは
黒革の手枷に鞭に揃いのアイマスク。
「あなた……大丈夫?」
いくら九条敬に触発された
浮気者同士だと言ったって。
さすがに展開が早すぎる。
「すぐに分かったよ。君の言う複雑な関係性のお相手が敬だって。でも驚いた。お姉様の結婚相手だと言うんだから――」
「だから何です?」
だからって
この人に脅される理由はない。
思っていた僕の方が
「彼のご両親――敏いよね。僕のこともすぐクビにした」
甘かった。
また完全なる肩すかし――。
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