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「ああ、結婚指輪だ。妻がデザインを」
「へえ~」
自信があるんだ。
隠すことなく堂々と
指輪をした左手を握ったり開いたりして僕に見せつける。
と――。
「君こそ、素敵なタトゥーだね」
コーヒーを差し出しながら
僕の手に目をやり先生が笑った。
「ああ、これ」
それもそのはず。
僕の手の甲には『花村一路』と――。
「すみません、お名前を忘れたら大変だと……」
彼の名前を
昨夜から書き付けたままにしてあった。
「ドジだな」
「ホント」
もちろんわざとだけどね。
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