リターナブル

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「メンバーはこれで全員だ」 所長の言葉が告げられた後、歓声が沸いた。 鳴り止まない拍手と口々に述べられる賛辞。そして気遣いの言葉。 そんな中でメンバーに選ばれた人には、ガッツポーズを取り雄叫びを上げるのもいる。 ただ、私に向けられる視線だけには冷ややかなものが混じっていた。 理由なんか分かっている。 私がこの資格を取得したのは先月、日数にして僅か十日前……。 悪意を含む囁き声は、聞こえないふりをして敢えてスルー。 貴女達は血の滲む努力をしていないでしょと心に呟き。 本当は、リスク故に出来ないと知っているから拳をそっと握ったけれど。 「やったな」 メンバーに選ばれた一人。最も有望株と皆に認められている藤沢さんが、一際目立つ褐色の手を私の肩に置いて笑う。 肌と対照的に白い歯列が見え、人懐こい瞳が細められた。 女性に人気の高い所以だ。 勿論その人懐こさは男性にも人気な様で、彼の周りには何時も誰かしら人が居る。 この選ばれたメンバーの中で、必然と彼がリーダーに成るのだろうなと思った矢先、所長の声が再度響く。
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