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だからこそ子供を授かれない私は、若くしてこの資格に挑戦し取得出来たのだ。
最初のふるい落としを無視して。
「よろしく頼むよ」
今度は真っ直ぐに差し出された褐色の手を握り返し、私も微笑んで答え返す。
「いえ、こちらこそよろしくお願いします」
わざと媚びた声を出してやった。
背後の女性陣が嫉妬しているのが手に取る様に分かる。
だがそれが男性にばれない様に振る舞えるのが女性の器用で嫌な所だ。
表面上は褒め称え、裏では悪意を持って有ること無いことの罵詈雑言。
女友達同士だと更に醜態を晒す。
露骨に他人を貶めて絆を深めたふりをして、別な女友達の前でその友達の悪態を吐きまくるのだ。
私は女のそんな部分が嫌いなのだ。
だから女でもなく男でもない自分が私は好きだ。
そう、きっと誰よりも私は自分自身が好きなのだ。
「他人行儀だなあ」
また白い歯が見え、びっくりするくらい大きな手が私の手を覆い隠した。
太陽みたいな温もりの有る掌だった。
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