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「また、何であいつはそんなしちめんどくせぇことしてんだぁ?」
「多分、俺がいるからでしょう……。あいつと俺の夢は、ふたりのうちのどちらかが世界で1番強い奴になることなんです。あいつは自分がやらなくても、俺が世界で1番強い奴になれると思ったんでしょう。だからこそ、自分よりも俺を優先してしまい、俺よりも自分が1番になってやるという気持ちがわかなくなったんでしょう……」
「……何でおめぇさんはそんな話を俺にしたんでえ?」
「俺以外にも、あいつの凄さをわかってくれる人がほしかったんですよ……。それと、あいつと俺ふたりの夢は、もう俺の夢じゃなくなったんで、あいつ自身の力で夢を叶えてほしくなったんですよ。」
「あぁ?一体どういうことでぇ?」
「俺の夢は世界で1番強い奴になることじゃなくなったんです。本気を出したあいつと真剣に戦いたいっていうのが、今の俺の夢なんです。」
「その夢はどうやって叶えるつもりでい?」
「とりあえず、半年後の異種格闘技大会でレオン・ベルナルドに勝った後、あいつを突き放そうと思ってます。そして、俺はこのジムから出ていきます。おっちゃんはあいつが自分自身の力で夢を叶えようとするように仕向けてください。それまで俺はあいつの夢が叶う一歩手前の所でずっと待ってますから……」
「なんでい……穴だらけなうえに、俺までまきこむつもりかよぉ!?」
「……大丈夫ですよ。なんだかんだ言って、あいつの心の奥底には、自分自身で夢を叶えようって思いがずっと燻ってるはずですから。じゃなければ、もっと前に総合格闘技なんてやめてるはずですから……」
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