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「週刊文豪の矢追(やおい)と申します。レオンさんはこの13年間で、あなたから唯一ダウンを奪った相手を覚えていますか?」
矢追が質問すると、レオンは少し考えた後、口を開いた。
「もちろん覚えているよ。名前はたしかハルト・テンドウだったね。彼はとても強いファイターだった。彼のおかげで私は更に上の段階にステップアップできたと思ってるよ。」
矢追は予想していた受け答えがきたため、少し口許を緩めた表情でレオンに続けて質問した。
「その天道晴都さんなんですが、あなたとの対戦の前日に、車に轢かれそうな少女をかばって事故に遭い、満身創痍の状態であなたとの一戦に望んだというのは御存知でしたか?そして彼があなたと対戦した1週間後に亡くなったという事も御存知でしたか?」
それを聞いたレオンは苦い表情をしていた……
「……おい、あんた。」
すると、予期せぬところから矢追に向けて声がかかった。
「あんたはレオンにそれを聞いてどんな返答を期待している?事故がなかったら結果は違ってたかもしれない、晴都が死んだのは自分のせいだとでも言ってもらうつもりだったか?運だって実力のうちだ。格闘技にたまたまなんてないんだよ。どんな状況であれ、結局は強い奴が勝つ。晴都はレオンより弱かった。ただ、それだけだ。それと、晴都が死んだのはレオンのせいじゃない。」
蓮は静かに、けれど力強い言葉でそう言った。
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