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4年前ジムの控え室……
「どうしたんでぇ、おめぇさん……話ってえのはなんなんでえ?」
「おっちゃんには、あいつがどう見えてます?」
「あいつかぁ?ちっと期待外れだったかもしんねえなぁ……」
「はぁ……やっぱりそう見ちゃいますか……。今更ですけど、あいつは俺より強いですよ?実際、あいつが俺に勝ったという事があったわけじゃないですけど……」
「あいつがおめぇさんより強いだとぉ!?そんな訳あるめぃがあ!」
「いやね、本当ですって。あいつは優しすぎるんですよ。それと、決して努力してる姿を人には見せませんしね。死に物狂いで頑張ってる姿を人に見られるという事がカッコ悪いと思ってるんですから。だからみんなの目には、あいつが適当な奴にしか見えてないんですよ。」
「なんだそりゃ?思春期の学生かよ、あいつはよぅ。」
「あははっ、それに近いかもしれません……話を戻しますね。おっちゃんはあいつが公式、非公式含めた試合やスパーリングで、対峙した相手にケガをさせたというのを見たこと、聞いたことがありますか?」
「……そういやぁ、思いあたらねえなぁ……。」
「俺たちがやっているのは金的、目潰し、噛みつき等の悪質な行為以外禁止されてない総合格闘技ですよ。多少のケガは日常茶飯事の世界ですよ。随分、可笑しな話でしょう?」
「するってぇと、あいつは常に相手がケガしないように手加減しながら、試合やスパーリングしてるってぇのかい?」
「その通りですよ。しかも、大会では自分から試合放棄した試合以外、全て勝ってますからね。勿論、相手にケガさせることなく……。いくら俺でもそんな芸当出来ませんよ。」
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