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──" "君、好き──
時々、俺の夢に彼が出てきた。
夢の中の彼は酷く従順で
俺の求めに応じるまま身体を開いては俺を受け入れる。
俺の歪んだ支配欲を満たすのには充分だった。
夢を見ている間は幸せだった。
欲しいものを手に入れられるから。
でも、それは俺の中の彼に過ぎない。
俺の中の都合の良い妄想に過ぎない。
本当の彼はもっと自分の意思を持っていた。
けど、俺はそれを見ようとしなかった。
自分の欲を押し付ける事しか頭になかったから。
だからあんな夢を見るのだろう。
夢から目覚めた後の虚しさは胸を締め付け、息苦しさを覚えるほど。
彼はまだ俺を許してはいない。
これは俺に課せられた罰。
そう思った。
でも、記憶はいずれ薄れ、曖昧になっていくもの。
時が流れ、それなりに忙しい日々を歩むうち
いつしかそんな夢の事は思い出すことすら無くなっていった──。
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