1…みかんさんの恩返し

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 その夜、日暮れ頃から降り始めた雪が、コンコンと積もって大雪になりました。  おじいさんがおばあさんにみかんを助けた話をしていると、表の戸を、トントン、トントンと、叩く音がします。 「ごめんください。開けてくださいまし」  若い女の人の声です。  おばあさんが戸を開けると、頭から雪をかぶった娘が立っていました。  おばあさんは驚いて、 「まあ、まあ、寒かったでしょう。さあ、早くお入り」 と、娘を家に入れてやりました。 「わたしは、この辺りに人を訪ねて来ましたが、どこを探しても見当たらず、雪は降るし、日は暮れるし、やっとの事でここまでまいりました。ご迷惑でしょうが、どうか一晩泊めてください」  娘は丁寧に、手をついて頼みました。 「それはそれは、さぞ、お困りじゃろう。こんなところでよかったら、どうぞ、お泊まりなさい」 「ありがとうございます」  娘は喜んで、その晩は食事の手伝いなどをして休みました。  あくる朝、おばあさんが目を覚ますと、娘はもう起きて働いていました。  いろりには火が燃え、UFO焼きそばからは湯気があがっています。そればかりか、ロボット掃除機ルンバで家中がきれいに掃除されているのです。 「まあ、まあ、ご飯ばかりか、お掃除までしてくれたのかね。ありがとう」 「何て良く気のつく優しい娘さんじゃ。こんな娘が家にいてくれたら、どんなにうれしいじゃろう」  おじいさんとおばあさんは、顔を見合わせました。  すると娘が、手をついて頼みました。 「身寄りのない娘です。どうぞ、この家においてくださいませ」 「おお、おお」 「まあ、まあ」  おじいさんとおばあさんは喜んで、それから三人貧しいけれど、楽しい毎日を過ごしました。
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