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こうして三人の王子たちは、誰一人、みかん姫をお嫁にする事は出来ませんでした。
さて、この話しがついに、帝(みかど→天皇)の耳にも届きました。そしてみかん姫の美しさに心を奪われた帝が、みかん姫を宮廷に迎えると言ったのです。
帝と言えば、この日本で一番偉いお方です。
おじいさんとおばあさんは大喜びですが、みかん姫は宮廷に行くのを断りました。
帝の力を持ってすれば無理矢理にでもみかん姫を宮廷に迎える事は可能でしたが、帝はとても心優しいお方だったので、無理にみかん姫を迎えようとはせずに、みかん姫とは和歌を取り交わす関係となりました。
みかん姫が帝と和歌を交わす関係になってから三年の月日がたった頃、みかん姫は事務所を見ては涙を流すようになりました。
心配したおじいさんとおばあさんが、かぐや姫にたずねました。
「何がそんなに、悲しいのだね」
「心配事でもあるなら、わたしたちに話してごらん」
しかしみかん姫は何も言わず、光の玉のような涙をはらはらと流すばかりでした。
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