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「うん……、痛い……」
その言葉に素直に頷いた瞬間、ほらまた。
キズがまた増えた。
痛い。
痛くてぎゅっと身体を抑えていると、“そうだよね”って言って僕の隣に座った。
「ボクも君と同じようにキズだらけになったときは本当に痛くて仕方がなかった。治療できるものもそのときは君と同じように小さな絆創膏が少しあっただけだったからね」
「同じだった??……」
確かに身体の至る所にキズが目立つ。
だけど、目の前の人は僕よりたくさん治療されている。
大きな絆創膏が貼られ、包帯も巻かれている。
中にはほとんど治りかかっているキズもある。
到底同じだったとは思えない。
そんな僕の気持ちを読み取ったのか、目の前の人はクスクスと笑った。
「そうだね、今のボクは君と同じではないね。でもね、ボクがこうなれたのはたくさんの人に助けられたから……、そして、ボクの身体の中が頑張ってキズを治さなくちゃって動き出したからなんだよ」
包帯が巻かれた手をグーパーと動かして、“ここのキズももうすぐ治るかな”と笑って見せた。
「……僕のキズは深くて、なのにまだ増えていっていて……、僕は貴方のようになれるとは思えない……」
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