『全然そんな、たいそうなもんじゃねえんだけどな……』

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すぐにでも駅に行っても良かったんだけど、ルナが 「ちょっとお茶していかない?」 と誘ってくれたので、駅前の喫茶店に入ることにした。 荷物は既に空間ロッカーに閉まってるので、旅に出る前だというのに身軽だ。 自分はホットコーヒー、ルナはホットココアを注文する。 「…それで。 教えなさいよ」 「は? 何を」 「しらばっくれないでよ。 ロキのこと。 どこで知り合って、なんで彼について行こうだなんて思ったの? 学校だってあるでしょうに、ちゃんと連絡してるの?」 「…うーん、本当おかん…」 「…悪寒? 寒いの、風邪?」 「や、違う違う、ごめん、大丈夫。 …学校は大丈夫、ああオレは連絡してなかったんだけど、さっき聞いたら母さんがちゃんと話してくれてた。 休学扱いにして貰ってる」 そこに、ウェイトレスが飲み物を運んできてくれた。 二人して一口飲んで、ほうっと息をついてから再び話し始める。 「偶然顔見知りになってさ。 次に会ったら倒れてやがるし、うちじゃなくて診療所に運んでさ。 その後、あいつと親父とでなんでだか、すんげー喧嘩をおっぱじめて。 患者さんいなかったから良かったもの、診療所ぶっ壊すし、本当火事にならなくて良かったけどよ…。 で、オレが怒って家飛び出してって。 いっぺんあいつに言われて渋々帰ったら、親父に否応なく迫られてさ、気ぃついたら力封印されてるし。 で、オレも本気で怒って『もう帰らねえ!』つって家出て…で、あいつにひっついてったって訳だよ」 ルナは途中口を挟まなかったが、自分がそこまで言って彼女を見ると、彼女は思い切り脱力していた。 「…アスカ…話がざっくりすぎるでしょ…」 「え? え~…そうか…?」 「大体の流れは、さっきの診療所で聞いてて分かってるって。 どんな出会い方して、どんな話をしたのか、彼の旅のどこに魅力を感じたのか、そこを聞いてるの!」 「魅力~? あいつに魅力なんてあるか…?」
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