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再びテントに近づく…ああ、また嫌がられるんだろうな、と内心構えて行ったのに。
テントに人の気配がない。
不審に思って
「…いるのか?」
と一声かけてから覗いてみたが、中に彼はいなかった。
「…そりゃまあ、トイレかもしんないし…」
しばらく、待ってみることにしる。
今日はおにぎりを2つにぎってきた、ジップロックに卵焼きとほうれん草のごまあえ、ウインナーも詰めてきた。
…体感時間10分ほど待ったが、彼は戻らない。
さすがに、ただトイレという訳ではないだろう。
「いねえのかな…でも、荷物はここだし…?」
周囲を見回してみる。
「…あれ?」
ここから少し離れた位置、街とは反対側の鬱蒼と草木が生い茂る小さい森みたくなってる場所に。
地元民なのに今まで全然気がつかなかったけど、洞穴みたいなものがあるのを発見した。
「…まさか、ねえ…?」
しかし他に、見知らぬ地でキャンプ生活なんぞ送る理由が分からない。
「…嫌がられる前に、怒鳴られそうだな…」
あそこに何か、あったっけ…?
ああ、あそこら辺たしか、『白蛇様の住処だから荒らしたら駄目』とか言われてたんだ。
だから今まで、あんな洞穴に気付かなかったんだな。
とかなんとか考えるうちに、洞穴の前に着いた。
入り口前に小さな祠があった、なんか本当に白蛇様なりなんなりいらっしゃるのだろうか。
「…さすがに、怖えわ…」
辺りは暗いし、雨だし。
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