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「今の話…本当なのか…?」
「こんなことで嘘ついて、どうなるっての?」
騎士団付属の学校の帰り道、幼なじみのルナが待ち構えていた。
彼女はコランダモ四大名家のご令嬢であり、ここキラリィ地区の巫女にあたるとかで…優れた能力を持っている。
…とは言っても、彼女が今し方自分に話してきた内容は、かなり衝撃が強すぎてにわかには信じられなかった。
「…いや、君が私に嘘をつくなどとは、微塵だに思ってはいない。
ただ、今の君の話は…「うん、夢でみたの。
そう、あくまで夢なの。
だーかーら、まだ父さん達には話してないの。
なんていうか…言いにくいし」
「…真っ先に話してくれたのはありがたいのだが、正直…信じたくはないな」
「そりゃあ、私だって信じたくはないけど、でも!
すんごい鮮明だったんだもん、しょうがないじゃない!」
「……」
彼女は、今朝にけったいな夢をみた、と言ってきた。
薄暗いぼんやりとした空間にただ一人、誰だかは分からない…男だか女なのかも分からないその誰か…ただもうかなりの高齢者だということは間違いないらしい、そんなどこか寂しげな老人が佇んでいて。
その老人のビジョンが、彼女に見えたそうなのだ。
それはこの世界、コランダモが滅びゆく無惨な光景だったという。
「しかし、平和なコランダモが滅びるなんて…」
呟いて、思わず空を仰いだ。
ルナもそれに倣う。
……自分、高潔たるサファイ族であり、名をマサヨシという。
意味はジャスティス…つまりは『正義』ということらしい。
かつて、内紛が続くこの世に平和をもたらしたシアン様に仕えていた、尊敬する祖父がつけてくれた名前で、大変気にいっている。
しかし、両族が和解してから未だ70年程…シアン様とマゼンダ様の御子息がお世継ぎなさる時も、ご結婚なさりまたその御子息、御息女がお生まれになった際にも、必ずといっていいほど反乱が起こった。
和解したとはいえ両族間の溝は深く、なかなか埋まるものでもない。
自分達が住むキラリィ地区でも、やはりサファイ族が住まう地域とルビ族が暮らす地域ははっきり分かたれている。
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