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*~*~*
爆発があったのは、午後1時半より少し前ってくらい。
で、只今午後7時…自分、見事に何も持たずして、再びロキのテントを訪れていた。
「…いるんだろ?
ロキ…」
ややあってから、テントの入り口が開く。
「んだよ?
来るなって言った…」
彼の言葉は途中で止まった。
自分が、あまりにもひどい顔をしていたからだ。
「…どうした」
彼の言葉を聞いて、涙腺の堰が切れて決壊する。
「えぇ?!
お、おい、ま、待てって…」
「…っ、あ、あんな、親父…もう、知らね…!」
泣くつもりなんてなかったんだけど、泣いてしまった。
それくらい、親父がやったことは許せなかった。
……診療所は、とにかく一時休業せざるをえなくなった。
うなだれる親父を支えて自宅に戻った。
母さんは、ひっきりなしにかかる電話の応対に忙しなかった。
親父にロキからの小切手を渡すと、あのクソ親父は『ふざけんな、あの野郎!』とビリッビリに破いてしまった←正直、これでロキに金銭面で負担かけないですむ、とホッとした
そして、すごい顔で睨まれた。
今まで親父から、こんな顔で見られたことはなかった…初めて自分の親を怖い、と思った。
そのなんともいえない親父の顔を見て体がすくんでしまって、まさか親父が自分に手刀を振り下ろしてくる、なんて思いもしなかったし…動けなかった。
急に自分の目の前が暗転して…起きたら居間のソファで布団をかけられて寝ていた。
外はもう、薄暗くなってきている…びっくりして起きたら、すぐ傍に親父がいた。
そして、こう言った。
『お前の力を封印した。
これ以上、あの力を使うな…ロクなことにならねえ』
瞬間、寒気がした。
自分の力は、自分が自分である証明…一種のアイデンティティって奴であって。
それを自分の許可なく、一方的に封印するなんて。
いつものように念じてみたけど、やはりブレスレットの蒼い石は光らなかったし、何より自分の体内からわきあがるいつもの力がない。
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